SPECTRAL  DMA-260S2

■DMA-260 Series 2 リファレンス・パワーアンプ

 

スペクトラルのオーディオコンポーネントは、レコーディングセッションでの生演奏の聴取や、リファレンス・サウンドシステムを使ったリスニングテストなど、各種研究プログラムを経て何十年にもわたって進化を続けてきた。こうした試験プロセスから生まれた知識は、有力な技術コンセプトや、最新の回路・試験法の開発・評価に欠かせないファクターとなった。生の音楽の感動をそのままに再現するにふさわしい有力なデバイス候補が新たなスペクトラルの技術を生み出し、最新のオーディオ製品につながった。こうした準備段階を経て、新開発の製造工程で生産された新しい半導体がもたらす利点が立証され、優れた性能を発揮する表面実装(SMT)やスルーホール実装のハイブリッド増幅回路の形で開花した。さらに、音楽の疑似波形を使い、人の聴力と関連付けたラボテストによりこのデバイスの技術的優位性が実証された。ライブレコーディングのダイナミクスを正確に伝える無色透明な音質。精密なディテールの再現と優れたステージング。これらの特性を兼ね備えたもっとも有望な回路の採用により、最高のオーディオアンプ、DMA-260 Series 2 リファレンス・スタンダード・アンプが誕生した。

 

■高品質増幅デバイスの探求

 

新しい高度なアンプ・トポロジーの開発に際し、スペクトラルは自社の高速アナログ用途で優れた性能を発揮する良質のデバイスを求めて、SMT トランジスターをはじめとする既存の半導体トランジスターの調査を開始した。最新のアンプに使用可能な表面実装タイプのトランジスターの多くが高速レスポンスを始め、アンプとしての高いポテンシャルを持っていたが、残念ながら、細心の注意で設計されたスペクトラルの回路に採用するにふさわしいレベルのものはなかった。多くの候補が解像度やクリアな音質を損なうことが判明したのだ。熱ストレスとチャージセトリングが原因になっていると考えられた。なぜなら、エレクトロニクス技術の進化により半導体の小型化が進み、接合部が過渡的な発熱に反応してエラーが発生する可能性があったからだ。この可能性についての評価を行い、最有力な半導体を選出するため、音楽の疑似波形を使った新しい高度なサンプリングテストを開発。この評価テストは、音楽の増幅に類似した熱発生や、スピーカー負荷に合わせたレスポンスの補正を生み出すようなトランジェントイベントを半導体の接合部で生成するもので、これらのイベントは素早い温度上昇をもたらすエネルギーバーストを伴うようなレスポンスを要求するため、一定に保たれる必要のある接合部の電圧がイベントを記憶するために変化し、エラーレスポンスやサーマルテールが発生してしまう。ほとんどのIC オペアンプが同様の欠点を抱えているため、この試験方法はコンシューマー領域でのデバイスのテストには極めて実用性が高いと言えた。その上、人の聴力の特性や感性に合わせた性能限界の定量化が可能になった。この新しい試験方法は、今も、究極の解像度と精度を実現する高速・低ストレス増幅回路へのこだわりというスペクトラルの哲学の有用性を実証し続けている。100 万分の1 という極めて高レベルの瞬時波形精度が可能にする、ディテールまで余すところなく再現された透明な音の世界。良質の増幅デバイスを求めて粘り強く研究を重ねた結果、最終的にたどりついたのが最高級テレビやコンピューターのディスプレイにも搭載されている最新のディスクリート半導体だった。高度な製造工程によって生まれた堅牢な構造を持つこの高速デバイスが、サーマルテールとエラーの記憶という課題の解決をもたらした。さらに、広範囲の電圧・電流にも対応。直線的なゲイン応答特性と高速性を発揮し、超高域の増幅が可能である。こうした画期的な性能スペックを組み合わせることでDMA-260 S2 のクリアで高解像度の比類なき音質が生まれた。

 

■SHHA ドライバー・テクノロジーの開発

 

多くの半導体技術と製造工程の研究を推し進めた結果、ついに画期的な製造プロセスと計算されつくしたチップジオメトリーを特徴とする最有力のデバイスの発見に至る。これらのデバイスは、従来型の音質テストと最新の音楽テストの両方で良好な試験結果を示した。多くのレジスターやコンデンサーの変更を伴う再設計を経て、新しいユニークな回路が生まれた。最新のJFET、 CMOS、バイポーラデバイスを使った実験は、一般的なパーツの入れ替えプロセスのレベルをはるかに超え、それ自体が進化したスペクトラルのリファレンス・コンポーネントに匹敵する綿密に考案されたデザインの原型とも言えるプラットフォーム上で行われた。またその成果は、表面実装や従来のはんだ実装技術を用いたトランジスターの中でも最高級品を使用したスペクトラルの高速ハイブリッドアンプ・ドライバーモジュールとその理想的なトポロジーの形で結実した。最新のSHHA ドライバーモジュール上で、実験で成功を収めた高速デバイスの実力を最大限に引き出すには表面実装技術が欠かせない。この技術により、必要に応じて実装密度を高め、従来のドライバーと比べて一段と機能的なレイアウトを作成することができる。さらに、左右のチャンネルを完璧に分離して干渉を防ぐことで、1つ1つの音の分離がさらに改善し、低ノイズの信号増幅を実現できた。さらに微細化技術により、補助回路の数を増やし、その機能を高めることが可能になった。こうした補助回路はアンプや電圧・電流の制御、磁界の消去、さらに信号、パワー、スピーカーの各ケーブルから伝わる静電気を除去する働きを持つ。スペクトラルのアンプはすべて、アンプを外部環境から切り離す同様のコンセプトを導入しているが、SHHA 表面実装ハイブリッド技術を用いてファインチューニングを施すことで、これらの機能の一層の増強を図っている。強力な熱結合が均一な温度分布をもたらし、その結果、バイアス電流が増加し、ダイナミックヘッドルームも向上している。マイクロボルト・オーダーの高感度JFET 素子とパワフルでコンパクトなMOSFET 出力部をつなぐダイレクトでクリーンなゲインパスが無理のない信号増幅を可能にする。新しいハイブリッド表面実装構造とSHHA ドライバーの高性能アクティブデバイスを効果的に組み合わせることで、精度、スピード、パワーの増強を図り、DMA-260 S2 の「フォーカスアレイ」の高速・高電流出力にも対応可能な大きな安定性マージンを確保している。

 

■インターフェイス問題への新たな解決策

 

DMA-260 S2 では、内部のインターフェイスが理想的な調節とオーディオ信号やパワーの最適な伝達を可能にしている。さらに、クロスポイントやマッチングネットワークが高感度回路への干渉を排除し、望ましくない信号の伝播やノイズの問題をクリアしている。従来のソリッドステートアンプでは、アンプの保護目的で、スピーカーケーブルの負荷やクロスオーバーに対応したインピーダンスやコンプライアンスを提供する出力終端ネットワークを使用していたが、残念なことに、出力ネットワークの使用には、非直線性や予測不能な荷重挙動、磁界伝播やノイズの問題といった深刻な問題が伴っていた。これらの問題は、アンプ性能や音質の低下につながるため、スペクトラルのアンプでは、歪みの原因となるこれらの問題は排除されている。さらに、安定化ネットワーク、抵抗器、チョーク、インダクターなどの部品はカスタムメードの高精度織物ケーブルに置き換えられ、非直線性、ノイズの伝播、磁界干渉といった問題を解決している。

これによりパッシブ部品の課題もクリアされ、出力デバイスからケーブルに伝わる信号は完璧にノイズから切り離された形で、清潔に保たれている。

 

■高速トポロジーのもたらすユニークな強み

 

世界初と銘打ったDMA-180 の時代から、スペクトラルのアンプは常にユニークなタイミングとフォーカスを有するアーキテクチャーを特徴としてきた。高速のCMOS 出力半導体の選択や構造レイアウトを含め、回路設計は、すべてのパワー部品からのレスポンスがスピーカーと内部のフィードバック部品に同時に伝わるように配慮されている。そのため、出力デバイスはそれぞれ独自の電源と磁界除去レイアウトを有している。その結果、これらのグループはタイミングが一致するように配置され、正確な同時応答が可能になる。さらに磁界除去構造により、各グループの動作によって感度の良い入力回路やフィードバック部品にノイズが伝わることがなくなり、そのため重量のあるシールド装置も不要になった。さらに、これらの動作は超高速で行われるため、内部のインターフェイスケーブルが正確なインピーダンスとコンプライアンスを提供でき、予測不能な荷重挙動もなくなる。旧式のソリッドステート・デザインでは、同様の目的のためにコイルを使用しているが、磁界の伝播が性能の劣化をもたらしていた。巨大なシャーシ構造がこの問題の改善策になりうると考えられていたが、こうした構造はもはや、外見を飾りたてる目的以外に必要がなくなった。フォーカスパワー構造、終端処理を施した織物ケーブル、さらにスペクトラル独自のデザインと構造が可能にする洗練された信号ルーティングの融合により、高レベルの安全性と完璧な内部のノイズアイソレーションを実現している。正・負のFET 間のクロスオーバー・トランジションも滑らかで、小信号フィードバック回路が極めて静かな環境で動作する。その結果、他のハイエンド・アンプに見られるような過剰な補正の問題もクリアしている。

 

■内部の落ち着き

 

DMA-260 S2 は精巧な電子回路と機械構造を有し、外部との正確な接続を可能にしている。一方、内部の高感度信号や電力供給は完璧に切り離されている。高級クラスのアンプでは、高度なアイソレーションと高純度信号を実現するため、機械加工を施した効率の悪い巨大なシャーシを採用する例が多いが、そんなものは、もはや必要なくなった。DMA-260 S2 は、低ノイズ動作環境をキープすることで、他の高級アンプの追随を許さぬ卓越した信号の透明性と純度を実現している。

 

■高解像度がもたらす無類のリスニング体験

 

完璧なハイレゾリューション録音のカギは、元の音楽波形に対する応答速度の速さと瞬時波形精度の高さにある。そのため、音楽再生にも同等の性能が要求される。過剰な補正やフィードバックに頼らない、アンプ本来の広帯域幅が、技術的な複雑さや、それがもたらす音質への悪影響を防ぐDMA-260 S2 の性能基盤となっている。過渡的相互変調、混変調、群遅延歪み、ディスパージョン、リアクティブ・ローディングなどは、説明するのも、理解するのも難しいトラブルの代表例だが、DMA-260 S2 では、こうしたトラブルはすべて排除している。しかし、高速回路においては、温度のセトリング(サーマルテール)が大きな問題になりうる。歪みの問題をクリアするには高度なテスト法と最先端の半導体技術、そしてエンジニアリングの粋を集めた最適なレイアウトが不可欠だった。波形や時間について言えば、DMA-260 S2 の出力信号は、入力信号と全く同じ波形を維持しながら、音楽事象のA 地点からB 地点まで移動する。その上、このプロセスは入力イベントの前後に不自然なアーチファクトがまったくない、100万分の1 という究極の精度で行われる。スペクトラルの回路に本来備わっているスピードと精度により、DMA-260 S2 では、正確でストレスのない音声信号の増幅が可能になっている。そしてこれこそが、音の透明感とハイレゾリューションの源泉なのだ。

 

■最適化されたシステム

 

スペクトラル・アンプの回路、デバイス、レイアウト、構造はすべて、一体となった1つのシステムとして、高度な性能をフルに発揮できるように設計されている。新しいSHHA ドライバーボードとフルバランス・ゲインセクションの長所を最大限に生かすため、DMA-260 S2 ではすべてのアセンブリーとコンポーネントを見直し、改良を加えている。これらはすべて、一切の妥協を排除したスペクトラル独自の設計思想を満足させるために欠かせない対策であった。また、革新的なSHHA ドライバーに加えて、DMA-260 S2 は、新設計の電源と大型トランスを搭載。このトランスは、完璧な電圧調節とアイソレーションが可能で、やっかいな低インピーダンス負荷にも難なく対応できる。さらに、新型高性能整流素子を採用して、ピークパワーとスピードを高めている。その結果、軽量・コンパクトサイズながら、並はずれた高レベルの性能を発揮している。DMA-260 S2 の次世代アンプシステムボードは、高度なRF レイアウト技術を採用し、信号経路にフェライトスタビライザーやコンデンサーを使用することなく、極めて安定性の高い高周波オペレーションを達成した。新しい「ハイプレート」プリント基板技術は従来の3 倍というトレースの厚みを実現し、電流能力を大幅に高めている。さらに、テフロン製の次世代カスタム・コンデンサーの採用により、高感度ドライバーの補正位置でも、高い信号純度をキープできる。すべての信号ケーブルと高精度アースシステムは、新型SHHA ドライバーとバランス・ゲインセクションの高アイソレーション能力を最大限に引き出すよう設計されている。オーディオパスをダイレクトかつ短くすることで、フィルタリング処理を最小限に留めながら可能な限りノイズを軽減し、超低ノイズで、忠実な音楽再生と超高速トランジェント・セトリングを可能にしている。

 

■理想の瞬時波形精度

 

スペクトラルは、DMA-260 S2 においてSHHA ドライバー・テクノロジーにさらに磨きをかけた。従来のドライバーと比べて速度と信号応答性を2 倍に高め、アンプ・トポロジーを飛躍的に改善している。しかし、こうした高速化では往々にしてエネルギーの貯蔵や発熱の記憶が大きな歪みとなって、トランジェントのディテールが失われた不鮮明な音になってしまう。この問題に対処するため、最新のテスト法を用いて動きの速いサーマルテールを検知し、高度な新型SHHA ドライバー・トポロジーにこうしたアーチファクトを除去する能力を持たせた。さらに、革新的なプッシュプル・バランスゲイン・セクションを組み合わせることで、新型SHHA ドライバーは、100 万分の1 レベルの波形再現精度と画期的な低歪み・低ノイズ性能を発揮している。長年の夢であった信号の記憶のほとんどない理想の瞬時波形精度を実現したステレオ・リファレンス・アンプの最高峰、それがDMA-260 Series 2 である。

 



■DMA-260S2の仕様

 

出力:200W×2/8Ω、360W×2/4Ω、545W×2/2Ω

入力:RCA×1、XLR×1

入力インピーダンス:10kΩ

S/N:97dB

最大消費電力:1600W

寸法・重量:W48.22×H18.4×D45.8cm・27.2Kg

定価:2,250,000円(税別)

※2016/11現在の価格です。

 

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