SPECTRAL  DMA-400RS

■スペクトラルDMA-400RS モノラル・リファレンス・スタンダード・アンプ


スペクトラルのオーディオコンポーネントは、レコーディングセッションでの生演奏の聴取や、リファレンス・サウンドシステムを使ったリスニングテストなど、各種研究プログラムを経て何十年にもわたって進化を続けてきた。こうした試験プロセスから生まれた知識は、有力な技術コンセプト、最新の回路や試験法の開発・評価に欠かせないファクターとなった。生の音楽の感動をそのままに再現するにふさわしいデバイス候補が新たなスペクトラルの技術を生み出し、最新のオーディオ製品につながった。こうした準備段階を経て、新開発の製造工程で生産された新しい半導体がもたらす利点が立証され、優れた性能を発揮する表面実装(SMT)・スルーホール実装ハイブリッド増幅回路の形で開花した。さらに、音楽の疑似波形を使い、人の聴力と関連付けたラボテストによりこのデバイスの技術的優位性が実証された。ライブレコーディングのダイナミクスを正確に伝える無色透明な音質。精密なディテールの再現と優れたステージング。これらの特性を兼ね備えたもっとも有望な回路の採用により、上質のモノアンプ、DMA-400RS リファレンス・スタンダード・アンプが誕生した。


■高品質増幅デバイスの探求


新しい高度なアンプ・トポロジーの開発に際し、スペクトラルは自社製高速アンプのアナログ用途で優れた性能を発揮する良質のデバイスを求めて、SMT トランジスターをはじめとする既存の半導体トランジスターの調査を開始した。スペクトラルの新デザインに使用可能な表面実装タイプのトランジスターの多くが高速レスポンスやアンプとしての高いポテンシャルを持っていたが、残念ながら、実際に細心の注意を払って設計したスペクトラルの回路に採用しうるレベルのものはなかった。多くの候補が解像度やクリアな音質を損なうことがわかった。熱ストレスとチャージセトリングが原因になっていると考えられた。なぜなら、エレクトロニクス技術の進化により半導体の小型化が進み、接合部が過渡的な発熱に反応してエラーが発生する可能性があったからだ。この可能性についての評価を行い、最有力な半導体を選出するため、音楽の疑似波形を使った新しい高度なサンプリングテストを開発。この評価テストは、音楽の増幅に類似した熱発生や、スピーカー負荷に合わせたレスポンスの補正を生み出すようなトランジェントイベントを半導体の接合部で生成するもので、これらのイベントは素早い温度上昇をもたらす短時間のエネルギーバーストを伴うレスポンスを要求するため、一定に保たれる必要のある接合部の電圧がイベントを記憶するために変化し、エラーレスポンスやサーマルテールが発生してしまう。ほとんどのIC オペアンプが同様の欠点を抱えているため、この試験方法はコンシューマー領域でのデバイスのテストには極めて実用性が高いと言えた。その上、人の聴力の特性や感性に合わせた性能限界の定量化が可能になった。この新しい試験方法は、今も、究極の解像度と精度を実現する高速・低ストレス増幅回路へのこだわりというスペクトラルの哲学の有用性を実証し続けている。100 万分の1 という極めて高レベルの瞬時波形精度が生み出すディテールまで余すところなく再現された透明な音の世界。良質の増幅デバイスを求めて粘り強く研究を重ねた結果、最終的にたどりついたのが最高級テレビやコンピューターのディスプレイにも搭載されている最新のディスクリート半導体だ。高度な製造

工程によって生まれた堅牢な構造を持つこの高速デバイスが、サーマルテールとエラーの記憶という課題の解決をもたらした。さらに、広範囲の電圧・電流に対応。直線的なゲイン応答特性と高速性を発揮し、超高域の増幅が可能である。こうした画期的な性能スペックを組み合わせることでDMA-400RS のクリアで高解像度の比類なき音質が生まれた。


■SHHA ドライバー・テクノロジーの開発


多くの半導体技術と製造工程の研究を推し進めた結果、ついに画期的な製造プロセスと計算されつくしたチップジオメトリーを特徴とする最有力のデバイスの発見に至る。これらのデバイスは、従来の音質テストと最新の音楽テストの両方で良好な試験結果を示した。この作業から多くのレジスターやコンデンサーの変更を伴う再設計を必要とする新しいユニークな回路が生まれた。最新のJFET、 CMOS、バイポーラデバイスを使った実験は、一般的なパーツ入れ替えプロセスのレベルをはるかに超え、それ自体が進化したスペクトラルのリファレンス・コンポーネントに匹敵する綿密に考案された最適デザインの原型とも言えるプラットフォーム上で行われた。またその成果は、表面実装や従来のはんだ実装技術を用いたトランジスターの中でも最高級品を使用したスペクトラルの高速ハイブリッドアンプ・ドライバーモジュールとその理想的なトポロジーの形で結実した。最新のSHHA ドライバーモジュール上で、実験で成功を収めた高速デバイスの実力を最大限に引き出すには表面実装技術が欠かせない。この技術により、必要に応じて実装密度を向上させ、従来のドライバーと比べて一段と機能的なレイアウトが可能になる。左右のチャンネルを完璧に分離して干渉を防ぐことで、1つ1つの音の分離がさらに改善し、低ノイズの信号増幅を実現できた。さらに微細化技術により、補助回路の数を増やし、その機能を高めることが可能になった。こうした補助回路はアンプや電圧・電流の制御、磁界の消去、また信号、パワー、スピーカーの各ケーブルから伝わる静電気を除去する働きを持つ。スペクトラルのアンプはすべて、アンプを外部環境から切り離す同様のコンセプトを導入しているが、SHHA 表面実装ハイブリッド技術を用いてファインチューニングを施すことで、これらの機能の一層の増強を図っている。強力な熱結合が均一な温度分布をもたらし、その結果、バイアス電流が増加し、ダイナミックヘッドルームも向上している。マイクロボルト・オーダーの高感度JFET 素子とパワフルでコンパクトなMOSFET 出力部をつなぐダイレクトでクリーンなゲインパスが無理のない信号増幅を可能にする。新しいハイブリッド表面実装構造とSHHA ドライバーの高性能アクティブデバイスを効果的に組み合わせることで、精度、スピード、パワーのすべてを増強し、DMA-400RS 「フォーカスアレイ」の高速・高電流出力にも対応可能な大きな安定性マージンを確保している。


■ゲインステージに進化した半導体を採用


DMA-400RS の高機能SHHA ドライバーを補完するのは、高解像度ディスプレイ専用のカスタム半導体技術を用いた高度なゲインステージである。業界の動向がモバイル用途の低電圧トランジスター重視に傾く中、高速・高電圧デバイスは極めて稀な存在となったが、各種のカスタムパッケージで実験を重ねた結果、サーマルテールのほとんどない高速でパワフルなデバイスにたどりつくことができた。さらに、これらのデバイスの並はずれた能力を最大限に引き出すため、ダブルプッシュプル型のフルバランス・ゲイン・トポロジーを搭載。この構造により、新型カスタムゲインデバイスはスペクトラルの従来型ゲインセクションの約2 倍という超ハイスピードを実現している。それに加えて、低インピーダンス化を達成し、アンプ出力に対するスピーカー駆動のマッチングも向上している。また最新のゲイン・トポロジーが生み出す理想的な出力駆動とスルー・シンメトリーにより、650V/μS 以上という現時点で最高レベルのスルーレートを達成。DMA-400RS のゲインセクションもまた、高速セトリングタイムを誇る新しいデバイスによるSHHA ドライバーの進化を反映しており、衝撃的なトランジェント解像度と深くダイナミックなセトリングを実現している。


■DMA-400RSに最適化されたシステム


スペクトラル・アンプの回路、デバイス、レイアウト、構造はすべて、一体となって高度な性能をフルに発揮するシステムとして機能するように設計されている。新しいSHHAドライバーボードとフルバランス・ゲインセクションの長所を最大限に生かすため、DMA-400RS ではほとんどすべての部品とアセンブリーを見直し、改良を加えている。この改良は、スペクトラルならではの妥協のない設計思想の実現に欠かせない作業であった。この革新的なSHHA ドライバーセクションに加えて、新設計の電源とトランスを装備。この大型トランスは、かつてないほど完璧な電圧調節とアイソレーションを誇り、やっかいな低インピーダンス負荷も難なくドライブできる。DMA-400RS は、比較的コンパクトなサイズ・重量にもかかわらず、このように並はずれたパフォーマンスを発揮している。DMA-400RS の次世代アンプシステムボードは、高度なRF レイアウト技術を採用。信号経路にフェライトスタビライザーやコンデンサーを使わずに極めて安定性の高い高周波オペレーションを可能にしている。新しい「ハイプレート」プリント基板技術は従来の3 倍というトレースの厚みを実現し、電流能力やトレース密度を大幅に改善している。すべての信号ケーブルと高精度アースシステムは、新型SHHA ドライバーとバランス・ゲインセクションの高アイソレーション能力を最大限に引き出すよう設計されている。オーディオパスをダイレクトかつ短くすることで、フィルタリング処理を最小限に留めながら可能な限りノイズを抑制し、極めて静かな高解像度再生とトランジェントのセトリングを可能にしている。


■理想の瞬時波形精度


スペクトラルは、DMA-400RS においてSHHA ドライバー・テクノロジーにさらに磨きをかけた。従来のドライバーと比べて速度と信号応答性を2 倍に高め、アンプ・トポロジーを飛躍的に改善している。しかし、こうした高速化では往々にしてエネルギーの貯蔵や発熱の記憶が重大な歪みとなって、トランジェントのディテールが失われた不鮮明な音になってしまう。この問題に対処するため、最新のテスト法を用いて動きの速いサーマルテールを検知し、高度な新型SHHA ドライバー・トポロジーにこうしたアーチファクトを除去する能力を持たせた。さらに、革新的なプッシュプル・バランスゲイン・セクションを組み合わせることで、新型SHHA ドライバーは、100 万分の1 レベルの波形再現精度とオーディオアンプ最高クラスの低歪みを実現している。長年の夢であった信号の記憶のほとんどない理想の瞬時波形精度を実現したDMA-400RS はスペクトラル最高級のオーディオアンプである。



■DMA-400RSの仕様

 

出力:350W/8Ω、560W/4Ω、705W/2Ω

入力:RCA×1、XLR×1

入力インピーダンス:10kΩ

S/N:98dB

最大消費電力:2000W

寸法・重量:W50.8×H18.4×D49.9cm・34Kg

定価:5,000,000円(税別、ペア)

※2016/11現在の価格です。

 

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