SPECTRAL  SDR-4000SL

■SDR-4000SL リファレンス CD プロセッサーシステム

 

SDR-4000SL リファレンスCD プロセッサーは、スペクトラル社のエンジニアリング部門で造られ、Dr.キース・ジョンソンが独自にプログラミングとキャリブレーションを行った限定版リファレンス機であり、スペクトラル・デジタル・リファレンスシステム(SDR)の完成形でもある。1980 年代にスタートしたSDR コンポ開発プロジェクトの先陣を切ったのは、業界初の本格的なハイエンドCD再生システム、SDR-1000 リファレンス・ディスクシステムだった。この革新的なSDR-1000 は時代に先行するシステムであり、バランス・デコーディングや複合型の修正フィルターといった基本的なプロセッシング技術革新の草分けとなった。後継機種のSDR-2000 はスペクトラルの野心作で、その進化した技術と解像度の高さによりオーディオ業界を驚きの渦に巻き込んだ。伝説的なパシフィックマイクロソニックス社のHDCD 録音システムと同等の妥協のない回路アーキテクチャーを採用したこのモデルは、デジタルプロセッサーの最高傑作として世界を魅了した。これら初期のSDR コンポ同様、究極のリファレンス機の開発には長い年月を要する。続いて登場したSDR-4000 とその改訂版SDR-4000 Pro はスペクトラル独自のHDCD「ロングフィルター」を搭載し、発売と同時に高い評価を得ることとなった。その後さらに4年の期間をかけて開発されたSDR-4000SL は、スペクトラルSDR プロジェクトの集大成として、すべての妥協を排除したモデルである。スペクトラルのデザインチームは、究極のリファレンス機によって、「レッドブック」CD 再生の可能性を再定義するという最終目標に挑戦し、見事に達成した。音楽CDの再生に関して言えば、ハイビットシステムにおける技術面での妥協はすでに無視できないレベルに達している。20 世紀最強の演奏を録音したデジタルCD の登場以来20 年以上が過ぎた現在も、豊かな音楽的伝統はCD によって継承されている。CD 録音のベストな再生が専用のCD 再生コンポでしか為し得ないのは技術的に明白である。究極のCD 再生を可能にした再生システム、それがSDR-4000SL リファレンスCD プロセッサーだ。

 

■精度の限界に挑むスペクトラル独自の高性能光学ドライブ

 

1970 年代にスペクトラルが自社のレーザーディスクシステム用に開発したオプティカルトラッキングサーボシステムは、CD ドライブの先駆者となった。その後、フィリップスやティアック/エソテリックとの共同開発により最高級の改訂版CD ドライブが誕生し、初期のSDR コンポに採用された。さらに、光学ドライブやサーボの分野での実績と世界中のCD ドライブの性能評価の経験をベースに、10 余年をかけて様々なメーカーの試作品をテストした結果、特注の専用高性能ドライブ、「Spectral UltraDrive」が完成した。

 

■生まれながらに優れた資質を持つドライブ

 

UltraDrive は、軍事用途や航空電子分野での使用をも念頭に設計されている。そのため、使われている部品については長期間のサポートを提供している。おそらく今後何年にもわたって修理やパーツ交換が可能な数少ない光学ドライブの1つとなるだろう。高い信頼性と長寿命を発揮する頑丈な構造。初期のSDR モデルを含むほとんどの他社製品に見られるベルトを排除して、ベルト交換の手間を省いている。しかし、このドライブの最大のポイントは、ディスクドライブのクロックをなくした点にある。UltraDrive は外部の発振器に同期処理するよう造られ、テストされている。そのため、ドライブ内にリファレンスクロックを持たず、DAC のマスタークロックを直接使用す

る方式を採用している。この方式は、最も精度の高い出力制御の方法だが、実際にこの理想的なアプローチを採用してドライブを製造している例はほとんどない。光学ドライブのメーカーは自社でテストできるクロックを持たない製品など造りたがらないからだ。スペクトラルは、独自の外部リファレンスにのみ同期するドライブエレクトロニクスを共同開発し、その結果、外部クロック同期に最適化された初の光学ドライブが誕生した。

 

■メンテナンスを容易にするモジュラー構造

 

スペクトラルは、ハイエンドオーディオ機器のメカニカルメンテナンスという課題についても真っ向から取り組んでいる。従来、最高級CD ドライブは大型で複雑な構造のローディングやダンピング、サスペンションシステムを搭載していたため、修理や部品交換には大掛かりな分解や再調整が必要だった。SDR-4000SL のUltraDrive はモジュラー構造を採用。UltraDrive はマスタークロックリファレンスに直接つながり、完璧に制振処理されたベースに装着されているため、容易に交換できる。

 

■Spectralock マスタークロック・アーキテクチャー

 

スペクトラルのSDR コンポは、当初からクロック同期の正確さとジッターの極少化を追求してきた。タイミングエラーやノイズが引き起こすジッターは、デジタルオーディオの音質に多大な悪影響を与える。このジッター軽減と音質強化という課題に真正面から取り組んだ成果が低ジッターSpectralock マスタークロックである。Spectralock データ管理システムは、UltraDrive ディスクトランスポートと完全に一体化されており、完璧なシールド構造を持つ密閉された筐体内に収納されている。そのため、電源供給はSDR-4000SL の他の部品同様、あたかもバッテリーを使用しているかのように本体から切り離されて行われる。さらに、信号が伝達されると、デジタル動作は自動的に無効になり、データはDAC の超高精度の水晶発振器に同期して出力される。この設計により、トランスポートとサーボ動作の影響を受けない正確なフィルタリングが可能になり、ノイズのない「静かな」アナログ変換環境が実現した。細心の注意を払ってシールドされ、インタフェースされたUltraDrive トランスポートは高速データバッファを収納している。Spectralock システムはCD からのバースト情報をとらえ、連続した時不変性のデータストリームを実現する。ペアの同期ループの動作はDAC のマスタークロックに同期し、モータ、トラッキングサーボや、その他タイミングエラーの原因となるすべての動作から切り離され、時間軸上での揺らぎの少ないプラットフォームを形成している。Spectralock システムは最高級のマスタークロックボックスと比べても格段に精度が高く、クロックケーブルの長さに起因するジッターも飛躍的に減少している。さらに高速同期ループ、高速ローディングバッファ、効果的なアイソレーションにより、デジタル処理やアナログ変換は正確なタイミングで行われる。これによりS/N 比120dB、データ精度100 万分の1という業界随一の高スペックを達成した。また、デジタル波形にリップル、ノイズ、漂遊磁界等が侵入することもない。この新しいSpectralock とUltraDrive のコンビネーションにより、何も足さず、何も引かない、ありのままのプログラムソースの再現が可能になった。

 

■静音性に優れた電源部

 

SDR-4000SL のパワーサプライ・アレイは、完全に独立した5つのディスクリート型の電源装置で構成され、それぞれCD ドライブとローダー、サーボ回路、表示・制御システム、デジタルシステムと再クロック、アナログアンプの各部に電源を供給している。細部にわたって綿密な設計を加えることで、プロセッサーやアナログ電子部品から電源ラインを介して伝わるノイズや歪みの影響をシャットアウトし、他の高感度コンポに影響を与えるエミッションノイズも抑制している。

 

■設計の基本:スペクトラルのソリューション

 

高品位デジタルオーディオコンポの設計においても、アナログステージに良質のディスクリート増幅回路が必要なことに異論を唱える人などいないはずだ。にもかかわらず、今日のデジタルオーディオ、プロセッサーやCD プレーヤーでは、すべてとは言わないまでも、ほとんどのアナログステージでIC アンプ(IC オペアンプ)が使われているのは、驚くべき事実だ。つまり、今日のデジタルオーディオ業界においては、低電圧・低バイアスIC の使用がデファクト・スタンダードになっているのだ。モノリシック回路の性能の低さを考えれば、高級クラスのデジタルコンポにICチップを使うということは、保守的なオーディオファンにとっては驚き以外の何ものでもないかもしれない。しかし実際は、デジタルオーディオコンポのI/V、イコライザー、アウトプットアンプとして設計された低コストのICに代わる、ディスクリート構成の実用的なアンプの設計はほとんど不可能であると言える。そのため、ほとんどすべてのデジタルオーディオ製品がアナログ信号経路にIC チップを使用している。デジタルオーディオはどこまで良くなるか?実際のところ、この質問に対して答えを出

すことはきわめて難しいだろう。回路についてはどこかで妥協をする必要があるからだ。デジタルオーディオの音は常に二流のIC アンプやバッファー等のフィルターを通して耳に届く。妥協を強いるIC アンプの使用に甘んじる以外に方策はないのだろうか?スペクトラルのエンジニアは、SDR-4000SL CD プロセッサー用に完全ディスクリート設計の高性能アナログ回路を開発した。その結果、DAC アンプとイコライザーからハイレベル出力ステージにいたるまで、すべてディスクリート設計のアナログ回路になり、ハイエンドプリアンプと同等の音質と性能レベルが実現した。高周波を取り扱う計測機器レベルの技術やパーツを投入したこのデザインは、高額なデジタルオーディ

オにも見られない高度なデザインである。

 

■比類なき変換精度

 

DAC ステージで最高のパフォーマンスを引き出すために、スペクトラルの20 余年にのぼるデジタルオーディオ設計の経験は欠かせないものであった。SDR-4000SL におけるD/A 変換はアナログデバイス社のAD1853 マルチビット・シグマ/デルタDAC をスペクトラル独自のダブルバランス構成で使用し、驚異的な高精度を誇っている。このユニークなマルチビット・ダブル・プッシュプル構造は、他の追随を許さぬ解像度と精度を可能にするスペクトラル独自の革新的構造である。さらにI/V(電流ー電圧)変換にもスペクトラル独自の専用DAC アンプを使用している。

 

■初の完全ディスクリート方式のDAC アンプ

 

DA 変換の後に続くDAC アンプあるいはI/V ステージも、最重要なアナログ信号ステージである。中でもDAC アンプの直線性、スピード、解像度は最終的なシステムの音質を決める上でもっとも重要な要素である。残念なことに、今日のデジタルオーディオコンポにおけるDAC アンプやI/V アンプのほとんどが、設計の容易さ、安定性、低価格といったメリットのせいで、低バイアス・低電圧IC オペアンプ回路を採用している。ライブ録音環境下における試験の結果、高級クラスのデジタル製品でのIC DAC アンプの使用は、重大な性能の犠牲を強いることが判明した。ディスクリート設計ながら動作の安定したDAC アンプの設計は、極めて難しい作業であったが、スペクトラルにとっての最重要課題は、IC 使用によるジレンマを解決することであった。解決策は、デジタルデコーダー後のステージで使用するディスクリート方式の高性能アンプを新たに開発することだった。SHHA I/V モジュール(スペクトラル・ハイスピード・ハイブリッド・アンプ)は、完璧なバランスを誇り、最速の立ち上がりと帯域幅の広さを特徴とする8 つの増幅部で構成されている。要求される精度を実現するのは、同等の性能を持つスルーホールFET 素子と高速バイポーラトランジスターだけだ。このSHHA DAC アンプモジュールにより、SDR-4000SL はアナログステージにおける性能の制約という、IC が抱えていた古典的な問題に初めて解決をもたらした。

 

■高性能パッシブ EQ

 

イコライザーもまた性能の妥協を強いられているアナログ回路の1つである。今日のイコライザーはアクティブ設計で使いやすいIC フィルター回路を採用している。この回路はサイズとコストの面では非常に魅力的だが、信号が低電圧モノリシックアンプ特有の歪みの影響を受けやすいという難点がある。これに反して、SDR-4000SL のパッシブイコライザーは、手作りの銀リッツ線チョークコイルや低ノイズバルク金属チップ抵抗体といった最高品質のパッシブ部品を使用した、優れたトランジェント特性を持つ回路をベースに開発されている。IC ベースのイコライザー特有の歪みを排除し、さらに高レベルの信号純度を達成している。

 

■妥協のないアナログ回路

 

スペクトラルの技術の優秀性は、高性能かつ革新的な出力部でもっとも顕著に表れている。デジタルオーディオの設計においてはしばしば無視されてきたが、ハイエンドのプリアンプ同様、ライン出力ステージが最終的な性能に与える影響は極めて大きい。そのため、スペクトラルのエンジニアはIC による妥協を排除し、最高級のプリアンプでその性能の高さを証明した最先端のディスクリートアナログアンプを使用した高速SHHA アンプモジュールを開発。これにより、アナログステージの最後に配したシングルエンドラインセクションは、世界最高級クラスのプリアンプに匹敵する音質と性能を発揮している。

 

■徹底した品質へのこだわり

 

スペクトラルのクオリティの追求はSDR-4000SL のユーザインタフェースにもおよんでいる。フロントパネルはアクリル製で、スペクトラルの伝統を受け継ぐつや出しサテン仕上げを施している。さらに、遠くからでもリモコン操作を確認できる見やすい大型ディスプレイを採用。リモコン部もさらに使いやすく、精度もアップしている。フロントパネルに採用した瞬時に切り替え可能な計測器グレードの操作ボタンをリモコンにも使用。軽快な動作と耐久性を実現した。さらに2 つのトランスミッター用赤外線ダイオードは、パワーと動作レンジを最大限高めている。

 

■究極のCD再生システム

 

SDR-4000SL は最後のリファレンスCD プレーヤーとなり得るのか?スペクトラルにとってSL と銘打った機種はSDR シリーズにおける最高峰とみなされてきたが、SDR-4000SL についても同様のことが言える。長年にわたって避けることができないと考えられてきた多くの性能面での妥協は完璧に排除された。そのコストに関わらず、SDR-4000SL より明らかに優れた製品が現れる可能性は極めて少ないだろう。真のリファレンス機とはどうあるべきか?この問いに対する究極の解答。真に聴くに値するサウンド、真に所有する価値のある機器がここにある。

 



■SDR-4000SLの仕様

 

CDメカニズム:スロット・ローディング方式、自社カスタムメイド・MILスペックメカニズム

D/Aコンバーター:24Bit-DAC、サンプルレート44.1kHz、8倍オーバーサンプリング

アナログ出力:RCA×1

デジタル出力:SPDIF×1

寸法・重量:W48×H10.5×D40cm・20.9Kg

定価:3,200,000円(税別)

※2016/11現在の価格です。

 

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